在宅訪問栄養指導について
私は普段クリニックで栄養指導をしていますが、患者さんの自宅に訪問し調理実習を交えながら栄養指導を行う、在宅訪問管理栄養士でもあります。在宅患者さんは高齢者世帯が多く、患者さん本人やご家族が療養食を作ることについて身体的・心理的に負担になっているケースが多いです。

なぜ食事作りが負担かというと、包丁を使う、ガス火を使う、配膳、皿洗いなどといった、調理に関わる動作は高齢患者さんにとって転倒やケガにつながる危険がいっぱいだからです。また、患者さんの家族についても、介護の負担が大きく、療養食を作る余裕さえない方もいらっしゃいます。そういった負担を少しでも軽くできるよう、療養食は「時短」「かんたん」「シンプルに」を心がけて訪問を行っています。

療養食の作り方を、調理を通してお伝えする以外にも、電子レンジを活用したり、患者さんが動きやすいように台所環境を整えることも訪問管理栄養士の大切な仕事です。

これまで行った在宅指導の中で、電子レンジの活用が栄養改善の一歩につながった例があります。

患者のAさんは80歳で、同じ年代の夫と二人暮らしです。糖尿病の悪化予防と肥満を改善するため、野菜をなるべくたくさん使った調理実習をしています。Aさんは、野菜料理は好きなのですが、脳梗塞の後遺症で長く台所に立てないため、つい煮物料理がおっくうになるとのことでした。また、同居するAさんの夫も歯が悪いため、手っ取り早くおなかがいっぱいになるじゃが芋を大量に茹でておいて、それで食事を済ませてしまうとのことでした。介護保険で手押し車をレンタルしていますが、体重がかなり増えているため、室内での移動もひと苦労でした。私が電子レンジを使って調理をしていた際、Aさんが突然「ガスでなく、電子レンジで野菜をゆでたいけど、使い方がわからなかい」と言われました。新しく買い替えたものが、操作が複雑だったため、おかずのあたため以外では使わなくなってしまったそうです。その後、ボタン操作を練習して電子レンジでゆで野菜を作ることができました。今後は安全に、短時間で野菜料理が作れるようになると思います。こういった調理環境の改善点を見つけられるのは、在宅での栄養指導ならではだと感じています。

入院患者さん、あるいは施設で療養する方を栄養管理でサポートするのが管理栄養士の重要な役割ですが、退院した後、もしくは施設から在宅に戻られた方が、いつまでも健やかに生活できるように支えることも、管理栄養士の大切な仕事だと感じています。
在宅管理栄養士として、「食生活を整えて、いつまでも在宅で暮らしたい」という患者さんの希望に沿えるよう、これからも活動を続けたいと思っています。

図1

樹クリニック 管理栄養士 加藤静香

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