被災生活を食で支える (2011年9月号)

今年の4月下旬、愛知県の保健所から、
栄養士の災害ボランティアが派遣されました。 

名目は食品衛生班で、その目的は避難所の住環境の調査と指導です。

避難所での衛生が保たれているか、救援物資のうち、
食材の保管や調理が衛生的に行なわれているかを確認してきました。
 

向かった先は、岩手県釜石市と、隣接する大槌町。

釜石市の人口は38千人で、当時はおよそ60の避難所があったそうです。

対して大槌町の人口は2万人、当時はおよそ30の避難所があったそうです。

平均して600人規模が学校の体育館や公民館のような施設で
寝泊りされていたということになりますね。

  

意外な事ですが、
避難所では
1週間くらいで体重が増え始める方がいるという事です。

たとえば、キャベツが30箱も届いている避難所での1日の食事です。
 

朝食 : 自衛隊の炊き出し

昼食 : カップ麺と菓子パン、缶詰

夕食 : 民間から配達される弁当(ごはんとかんたんなおかず)

 

キャベツがどこにも使われておらず、無駄になっていることに気付きます。
 

このように、野菜などの物資はあっても、それを料理する知識がなければ
高カロリーで高塩分、野菜不足の食生活になってしまうのです。
 
例えば、キャベツが
30箱、あったのを見て、
これで何が作れるかわかる人がいないと困るし、
600人分の味噌汁にするにはどのくらいの水と味噌が必要なのか
計算できる人がいないといけません。
 
残りのキャベツの管理をして、
つぎにどのような食材を配給してもらうべきか、考えて動ける人がいなければ、
届いた野菜は、あたたかい料理になって被災者の口に入らないのです。
 

避難所では、床に寝ることができ、配食が食べられるような、
表向きには疾患のない人が生活しているわけですが、
今や国民の
1/4は高血圧症や脂質異常、糖尿病生活習慣病を
抱えているわけですから、被災生活をすこしでも健康的に過ごすことが大切です。

  
 

災害時に食で体の安全を守るための3つのポイントがあります。

 

     備蓄食品には、魚肉ソーセージや水煮大豆などのタンパク質、
ドライフルーツや乾物(乾燥わかめや切干大根など)をそろえたい。
※救援物資では菓子パンやおにぎりなどの穀類が最初に届き、
   肉や魚などの生鮮品は遅れることが多い。
 

     単品でも栄養が十分とれる野菜料理のメモを備蓄品に備えておくこと。
※仮設住宅では自炊が求められます。
  一つの鍋、一つのフライパンでできるスープや焼き物など。
 

     自分の疾患に合わせて、低たんぱく米や糖尿病用レトルト食品、
食物繊維のサプリメントを用意しておくことも必要。
※このような備蓄品を持っている市町村はほとんどない。


  

大量調理に慣れた人や食品衛生の知識をもったボランティアが、
避難所では積極的に動くことも、大切だと感じました。
被災した方が
1日でも早く元の生活に戻るために、食の果たす役割は大きいのです。
 

                                                                        kama 

                       管理栄養士 / 加藤 静香 (かとう しずか)
                                    2011年9月号
                                   
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テーマ:食と健康 - ジャンル:ヘルス・ダイエット

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